Mosalogy

会社辞めてハーバードの大学院に来ちゃった感じ

遺伝子改変ベイベーとパパのミラノ風ミトコンドリア

mosaです。

週末の連休から現実に身体を慣らし、徐々にサイエンスモードに入ろうと思った矢先。

科学界を (たぶん) 震天させるようなニュースを耳にしました。

 

 

まずはじめに、これ。中国がやっちゃった件。

 

www.statnews.com

 

中国の研究者が、ついに遺伝子改変ベイビーを作っちゃったそうです。しかも双子。

HIV感染者の子どもでも、HIVが細胞に侵入する経路をブロックしてしまえば、物理的に細胞が感染することはない。

ということで、CCR5という細胞膜にあるHIVの入り口を欠損させちゃった、とこちらの研究者He Jiankuiさんが主張しています。

 

ちなみにまだ論文発表されたりはしてないので、真偽のほどは未だ微妙なところです。

 

これまでも実験室では同じ技術を用いてマウスやラットの遺伝子を改変してきたわけですが、米国では人間の遺伝子改変は倫理的にタブーです。というかそういう国の方が多いはず。

 

中国の研究倫理のことは知らないですが、国内でも100%賛成という訳ではなさそうですね。

 

 

余談ですがこの研究者の名前がHeなので、英文を読んでいて"He ~."と書いてあると、この人を指しているのか別の「彼」を指しているのか分かりづらくてちょっと面白かったです。ちゃんと「中国の研究者Heは~。」と書いてくれているところもあります。

 

この方の相性がJK (おそらく姓のJiankuiから) ですが、この発表がJK (Just kidding) となるのかは今後の精査を要すると思います。

 

 

 

そしてもう一個目に留まったのは、こちら。

www.pnas.org

 

ミトコンドリアDNAが父親から継承されるケースの報告です。

 

DNAといえば父親と母親の両方から受け継がれると思われがちですが、実は我々の細胞がもつDNAには大部分の核内のもの以外にもミトコンドリア内のDNAもあるんです。

ミトコンドリアDNA (mtDNA) と呼ばれるこのDNAはミトコンドリアの機能に必要なDNAで (※ややこしいですが、核内のDNAもミトコンドリアの形成に必要です) 、母親からしか受け継がれないと教科書的にされています。

 

なぜ父親由来のミトコンドリアDNAが子どもに受け継がれないかは実はよくわかっていないですが、この事実は長年に渡って受け入れられてきたもので、実際にミトコンドリア病というミトコンドリアに異常がみられる病気では、病気の家系図・遺伝のされ方からミトコンドリアDNAの変異を疑ったりもします。父親だけが同じ病気を持っていたら、おそらくミトコンドリアDNAの変異ではないだろう、といった具合に。

 

 

それが今回、3つの異なる家族で父親由来のミトコンドリアDNAが確認されたという論文が出ました。それが上のリンクです。

 

 

教科書を疑え、とはノーベル賞受賞者の本庶佑先生の言葉ではありますが、実際に教科書に反する結果を目にすると人は、

「んー何かのミスだろう」

と思うのが普通ですよね。

 

今回発表した研究者も、最初は自分の結果を疑ったそうです。

ただ、何度解析しても認められる父親由来のミトコンドリアDNA。

 

なんかミスったかなーと思って「まぁいいや」と思って見過ごすか、じっくり突き詰めるかは研究者次第ということですね。今回のは臨床現場での結果だから追求するほかなかった訳ですが、基礎研究の現場でもおそらく同じことが言えると思います。

 

 

でも、教科書が塗り替えられました、というには程遠いかな、というのが感想です。

あくまでこれはレアケースで、どちらかというと、父親由来のミトコンドリアDNAが子どもに受け継がれないための機構のどこかに変異が入っているのではないでしょうか。知らんけど。

 

ごめんなさい、タイトルのミラノ風はなんとなく言ってみただけです。意味ないです。

僕のブログのタイトルはだいたい意味ないです。ご存知の通り。