Mosalogy

会社辞めてハーバードの大学院に来ちゃった感じ

カエルの子はカエル。カエルの脚は生える (Cell Reports. November 6, 2018)

カエルの子はカエル。

mosaです。そろそろ土に還ります。

 

 

さて、タフツ大学の研究者たちがカエルの脚を再生することに成功したようです。

 

Brief Local Application of Progesterone via a Wearable Bioreactor Induces Long-Term Regenerative Response in Adult Xenopus Hindlimb

 

↑原著論文のリンク。Cell ReportsというCell姉妹誌のオンラインジャーナルに掲載されました。

 

子どもの頃のカエルには再生能力が比較的あるので、脚をチョンってやってもそれなりには生えてくるようですが、発達過程でその能力は失われ、大人になれば人間と同じで切った脚は生えてこないそうです。

 

 

今回、Xenopus laevisという種の科学実験用のカエルの脚を麻酔下で切断し、3時間後に3Dプリンターで作成した着せるバイオリアクターを脚にはめ、シルクゲルの存在下でプロゲステロンを24時間ほど当てておきました。

 

プロゲステロンという神経の再生を促す神経ステロイドは、女性の生理周期や妊娠、出産に伴って増加するいわゆる女性ホルモンです。

 

 

 

結果はなんと、

9ヶ月後に脚が生えてきた!

 

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(本文のFigure 2A)

 

上側が脚をちょん切った後に放置した場合、下側が24時間プロゲステロンが出るバイオリアクターを着せてみた場合。

 

というか僕は、大人のカエルの脚をきると上の写真のような突起物ができることすら知りませんでした。ちなみにこれは軟骨組織状のもので、全く役に立たないらしいです。

 

 

それはいいとして、プロゲステロンを与えたカエルの遺伝子発現を調べてみると、酸化ストレスやセロトニン輸送、白血球の増殖に関する遺伝子が多く発現するみたいです。実際に脚の顕著な再生がみられる前の段階でも、免疫細胞の増殖はプロゲステロンを処置したエリアで認められています。

 

また、実際にカエルの行動を測定してみると、脚を切っていない通常時ばりに水中を動き回れるらしいです。

 

 

....という訳で、カエルさん完全復活。なんというかもう、SFの世界観ですね。

再生能を持たない生物での成功、人間への応用も大いにあり。と、この研究者たちは語ります。

 

個人的にエストロゲンと並ぶ女性ホルモンとして認識していたプロゲステロンですが、 (読み間違えてなければ) 使用したカエルはオスとメスのランダムなミックスのはずで、効果における性差についての言及は特にされていない気がします。

 

(例によって図表しか目を通してなくて、本文はろくに読んでないんですが。笑)

 

 

脚を切ってすぐに処置した、というところもポイントかと。

例えば先ほどの写真の非処置群みたいな突起ができているカエルにプロゲステロンを当ててみても、多分今更感が半端なくてそこから脚が生えてくることはないんでしょうかね。

 

だとすると、人間に応用しようとする場合は、すでに脚がない人向けではなく、これからなんらかの理由で脚の切断手術を行わなければならない人向けということになるのではないかと勝手に予想します。

 

まあ、実用化ははるか先のことだと思いますが。

再生医療とか遺伝子編集技術の発展で、昔のSF映画の世界観が実現される日もそう遠くはない気がします。

 

 

ちなみに人間の遺伝子関連のSF映画としては、20年以上前のものになりますがガタカという映画がおすすめです。一回しか観てないけど。

よく見るとガタカはGATTACA、そう、遺伝子の塩基配列ですね。

 

俺、この世界で生きてたら間違いなくポイされる遺伝子の持ち主だわ

科学の発展がSF映画を実現させませんように。笑