Mosalogy

会社辞めてハーバードの大学院に来ちゃった感じ

神様、もう一度だけ (Nature and Nature Medicine. September 26)

毎日がチートデイ、mosaです。

 

エイズと聞くと未だに脳内に河村隆一が流れるあなたとは友達になれそうです。

 

「エイズとかというとあの性感染症だかウイルスだかなんかでしょ。HIVっていわないっけ」

とまあ一般的な理解はそんなもんかなと思いますが、一度整理しておくと、

 

AIDS ... Acquired Immunodeficiency Syndrome: 後天性免疫不全症候群

HIV ... Human Immunodeficiency Virus: ヒト免疫不全ウイルス

で、エイズが病気の名前、HIVがその原因となるウイルスの名前です。

 

免疫において非常に大事なCD4陽性T細胞に感染してぶっ壊しちゃうので、感染者の免疫力が著しく低下しちゃう怖いウイルスです。(バイオハザードのT-ウイルスとは関係ないです。)

 

主に性交渉で感染しますね。

同性間だけとおもわれていたのは昔の話、異性間の性交渉でも感染します。

 

 

実は今、このウイルスを根絶する薬はありません。

ワクチンでさえも完璧ではないです。なぜなら、HIVウイルスはものすごいスピードで変異に変異を重ね、すぐに耐性を持つから。

 

また、一度感染してしまった場合は、もうワクチンなんて言ってられないですよね。あれは予防なので。

こういう時にどうするかというと、抗レトロウイルス療法 (Anti-retroviral therapy: ART) という抗レトロウイルス薬 (Anti-retrovirals: ARVs) を組み合わせて投与する方法が用いられます。

 

ただ、これには一つ厄介な問題が。

 

 

そう、毎日投与する必要があるのです。

これらの薬は細胞の中で増殖しようとするHIVの動きを抑える効果がありますが、実はHIVには潜伏期間と呼ばれる、細胞の中でジーっとしている期間があるのです。

だからずっと薬を使用していないと、あるとき目を覚まして増殖しようとするHIVを抑えられないわけですね。

 

 

「これは大変だ、どうにかしないと」というのが今HIVの研究をする人たちの一つの目標なわけです。

 

そこで期待のエースが、抗HIV抗体。HIVウイルスに共通して見られるEnvと呼ばれるタンパク質を認識するよう作られているので、ウイルスが変異しようが広範囲にHIVと中和しちゃうよということでbroadly-neutralizing antibody (bNAb) と言われています。

細胞に入る前のウイルスを狙っているので、うまくいけば細胞への感染を防げるし、潜伏期間がどうとかもある程度心配いらなくなるか、という期待もあります。

 

 

実際にHIVの患者さんでこれらのbNAbで治験をしてみると、ある程度の期間ARTなしでも血中HIVの検出が著しく減少します。

 

「おお、じゃあこれいいね。もうHIVは楽勝だね」

残念ながらそうはなりません。

1-2ヶ月の間にまた、ウイルス量が増えてしまうのです。俗に言うリバウンドです。

 

 

今回は、複数のbNAbを組み合わせて投与したらもっといいんでは?という治験が行われた模様です。前回の治験と同じグループが、Natureとその姉妹誌Nature Medicineにその結果を発表しました。

 

3BNC117と10-1074という二つの抗体を投与しました。

ARTをストップした患者さんに、その2日後、3週間後、6週間後にこの抗体ミックスを与えてみると、3-4ヶ月はこのリバウンドが怒らない。人によってはもっと長く。

 

 

結果だけ見ると、「まあちょっと期間が伸びるだけじゃん」という感じかもしれませんが、この差は結構大きいんだと思います。毎日既存の薬を投与しなきゃいけない毎日から考えると、少しでもこの期間が長い方がQOLが上がりますよね、いろいろな面で。

 

 

ただ、根絶までの道のりははるかに遠い。

なので、今まだ感染していないあなたは (僕も) しっかりと対策をして感染しないようにしましょう。

 

www.nature.com

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