Mosalogy

会社辞めてハーバードの大学院に来ちゃった感じ

僕が製薬企業を辞めてハーバードの大学院に入った理由 (後編)

はい、前回のエントリの続きです。

 

ざっくり前回の内容をまとめると、

『会社に就職していい暮らしをしているが、僕は仕事ができない。

このままじゃ将来ヤバいかも。どうなるんだろう。

んー博士号を将来持ってたらちょっとはマシ?』

といったところでしょうか。

 

会社にいながら博士号を取るの、なんか難しそう

僕のいた会社だけかもしれないですが、年に一度はしっかりと上司とキャリアについて面談する機会が(義務的に)あるんです。

 

事前に自分のキャリア観を社内ウェブ上のアンケートで答えておき、一つ一つの項目ごとに上司と意見交換していく、みたいなやつ。

 

 

一つの項目に、「海外に出て働いてみたい」というのがあって、僕は素直にチェックマークを入れたんです。

 

 

ーーーだって、海外出向とかかっこよくね?

 

ろくに旅行したこともなかったけど、自分の日本人離れした顔面が列島外の空気を浴びたくて仕方なかったようです。

 

確かに製薬企業から研究員が英米の研究機関、あるいは子会社に出向するケースは珍しくなく、毎年1−2名は出されるのが平均的かなぁと思います。

 

 

でも、どうやら難しく。

 

「mosaくん、海外行きたいみたいだけど、博士号ないよね?」

「入社する分には必要ないけど、やっぱり海外行くとなると博士号ないとちょっと難しいな」

 

と面談で言われてしまうわけです。

 

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説明しよう。

 

学位には学部卒(学士号)、修士課程了(修士号)、博士課程了(博士号)の三種類があります。

 

理系の研究職につくためには、修士号以上が必要なケースがほとんどです。

製薬企業の研究職も例外ではなく。

日本の会社では博士号は必要ではないので、企業で働きたい学生はわざわざ学費と時間を犠牲にして博士課程に進学することはせず、修士号取得後すぐに就職することが多いです。

 

僕もその一人です。

 

 

ただ、海外(少なくともアメリカ)ではそうはいきません。

そもそもアメリカの大学院は修士課程と博士課程に分かれておらず、5−6年かけて 

Ph.D. (博士号に相当する学位) を取得するケースがほとんどです。(一応修士課程もありますが)

 

Ph.D.という学位は、研究の世界での自動車免許みたいに扱われているように感じます。

したがって、企業で研究員として研究する場合も必要になってくるわけです。(もちろん例外はあります)

 

そういうわけで、仮に日本で博士号が必要なくとも、そういうアメリカの研究員と対等に渡り合うためには、やはり博士号がある方がいいということなのです。

 

説明おわり

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そうなってくると、前回にも書いた通り博士号取得になんとなく興味があった僕としては、上司に聞いてみるわけです。

 

「会社にいながら博士号を取ることってできますか?」 

     「就業時間外に学校に通って研究するのは難しいから、論文博士の方法で取得することは可能だよ」

 

「それってどうやって取るんでしょうか」

     「研究論文を2−3報書いて、それをまとめた学位論文を大学の先生に審査してもらえば取れるよ。mosaくんの場合はすでに1報の論文があるから、あともう1、2報の論文をかけば可能だよね」

 

「じゃあ論文をかけばいいわけですね。会社の研究内容を論文にするってことでしょうか」

     「そうだね、創薬の観点からは失敗に終わってしまったけど科学的には新しい発見である場合とかは、それを論文として発表することができる。」

     「ただ、最近はそういう研究も社内ではなくなってきているよね。。」

 

ーーえーと、無理ってことですか??

 

まあ無理ってことではないんですが、もちろん会社は論文を書くための機関でもなければ学位を取るための研究所でもないので、そんなにすぐ博士号が取れるわけはないですよね。

 

僕自身それはわかっていましたし、自分にできる形で会社に貢献していればいつか自分にも学位のチャンス等は巡ってくるだろう、というように考えただけでした。

 

大学時代にお世話になった教授から海外大学院への進学という選択肢を知る

そんな入社2年目の春、自分が修士課程の時に遂行していた研究をScienceの姉妹誌に発表することができ、教授に焼肉を奢っていただいた。

その時は講師をやっていた先生や秘書の方もいらっしゃったが、数日後、教授からメールがきました。

 

「この間はありがとう。今度二人で話しますか?」

 

ーーー??

 会社はどうだ?とさりげなく聞かれたとき、「まあうまいことやってますよ」なんて答えましたが、きっと浮かない顔をしていたんでしょう。内心のもやもやを見破られたようです。

 

教授とサシで飲みに行く学生なんて自分の研究室にはいなかったような気がしますが、せっかくの機会ですし、いろいろ話してみたいなあと思い、渋谷にある本酒が豊富な居酒屋を予約。

 

(ちなみに米心 (まいしん) というお店です。魚介も美味しくてお気に入りです。*1

 

研究テーマを自分で考え出すことの難しさ、先生はどうやって今のところまで辿り着いたのか、など、色々な話を伺うことができた貴重な数時間でした。

日本酒でかなり酔っぱらいましたが。笑

 

そんな中、自分の研究室に博士課程で戻ってくるか?と打診されました。

先生には気に入っていただいていたので嬉しかったですが、自分には給料をもらっている今の状況から抜け出して、むしろ学費を払う環境に身を置くのはどうも気が引けました。

 

 

「あ、でもお前だったら海外に行けるよ。それなりには英語できるだろ?」

 

 

初めて海外の大学院への進学という選択肢を実感した瞬間でした。

 

 

それから気づけば夏休み、仕事を休んでいた2週間の間に考えた結果、

「まあどうせ受からないし出願するだけしてみっか。どーせ暇だし」

という軽い気持ちで、とりあえずアメリカとイギリスの大学院を受験しようと思い立ったわけです。

 

 

「先生、先日は貴重なお時間をありがとうございました。

考えた結果、海外の大学院に挑戦してみようと思います。

もし宜しければ、出願時の推薦状をお願いすることは可能でしょうか。」

 

 

 

おわり

 

今後は出願から合格まで、Howの部分に焦点を当てて回想してみようと思います。