Mosalogy

会社辞めてハーバードの大学院に来ちゃった感じ

ロメインレタスにご注意を

mosaです。

最近のNetflixはスタンドアップコメディやドキュメンタリーのラインナップが異常に増えてきています。

 

ドキュメンタリーは料理番組や食べ物/健康・医療系のものが主流です。

これまでにいくつか見ましたが、特に健康被害系のものについてはその内容に首を傾げてしまうものも多いです。

 

例えばWHAT THE HEALTHというKip AndersenによるNetflixのドキュメンタリー映画は、「加工肉や卵、チーズは体に悪いのに米国糖尿病学会が特定の食品会社がスポンサーであるためにこういった食品を推奨している」とか、そういうことを伝えようとしています。論文を検索するだけではなく、医師や学会員に多くのインタビューを行って、さも食品業界の闇を暴くような構成です。最終的には「ビーガン (ベジタリアンみたいなやつ。ベジタリアンより縛りは多い) は最高、みんなビーガンになろうよ」みたいなことを言い出します。

 

でもね、こういうのって自分にとって都合の良い研究結果はいくらでも転がっているわけです。食と健康に関して言えば、先日このブログでもScienceの記事を紹介した通り、そもそも長年かけて研究がなされているのにコンセンサスが得られていないわけです。

 

 

何もバカにするわけじゃないですが、素人が数ヶ月調べたりしてハッキリ結論を出せるわけがないんです。

 

もちろん明らかに正しいであろうことも伝えられていますが。

インタビューの中で若干悪者のように描写されていた米国糖尿病学会員の

「ダメな食事はあれど、糖尿病にならないための万人に良い完璧な健康食などない。大切なのは健康的に食生活を送ることだ」

という発言が全てを物語っていると思います。

 

 

さて、んなわけでこの記事が目に止まった時、また同じような感じかなぁと思いました。

 

'Do Not Eat Any Romaine Lettuce': CDC

www.nbcwashington.com

 

違います。感染性の健康被害です。マジもんです。

 

注意喚起がなされているのはロメインレタス。スーパーマーケットに行けば普通に売っている野菜で、自炊に使用する人も多いと思います。

 

実は今年だけで複数の事例が発生していますが、ロメインレタスへの大腸菌の付着により体調を崩して病院にいった被害者が複数の州をまたいで数十人出ていることから、アメリカとカナダでは安全のため一切のロメインレタスを食べないようにという勧告が出されました。

 

Centers For Disease Control and Preventionという組織から、本日午後に正式な警告がなされています。

www.cdc.gov

 

もちろん食ってもおそらく大丈夫なケースの方が多いとは思いますが、「安全の保証は一切できないので食わないで捨ててくれ」とのこと。証拠不十分につき流石にお店からのリコールはできないみたい。

 

特に今週末はサンクスギビングで、普段は自炊しない人も料理がんばっちゃおーかなとかって野菜買うこともあるかもしれませんが、ロメインレタスはやめておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

人間に潜むウイルス遺伝子に迫る (PNAS. November 19, 2018)

mosaです。

今日、ようやくインフルエンザの予防接種に行ってきました。

バスでメインキャンパス付近の保健センターへサクッと行ってサクッと帰ってくるはずが、交通渋滞が酷かったりして時間を食ってしまい、おまけに具合も悪くなってきてしまって今日は非生産的です。

 

 

というか毎日が非生産的です。

二酸化炭素しか生産してません。

 

 

ということで、細菌やウイルスというと人間の敵という共通認識があるように感じてしまいますが、必ずしもそういうことではないです。

例えば腸内細菌とか、人間は色々なものと共生してるわけです。

ミトコンドリアだって細菌由来ですしね。共生説。

 

実は人間の遺伝子の8%くらいは内在性レトロウイルス (endogenous retrovirus: ERV) でできています。実際にタンパク質の元となるのは2%くらいです。

こういうと少なく聞こえますが、遺伝子はすごく長いことを考えると、結構な量ありますよね。

 

多くのERVは発生過程で発現して、その後エピジェネティックな制御により発現が抑えられるそうですが、病気などの文脈では特定のERVの発現が上昇しているのが確認されています。タンパク質が作られなくても、ERVの塩基配列が細胞内の転写因子を捕えることで宿主の遺伝子発現を調節したりもします。

発生の過程や適切な免疫応答のためには良い働きをするERVも複数報告されているので、ERVは状況によって我々にとって天使にも悪魔にもなれるということです。

 

ところが、これまでのERV研究は断片的で、「この部分のERVがこういう病気に関わっていそう」とか「この部分は骨盤形成に重要っぽい」とか、ERVの全体像を把握するには程遠いものでした。

 

ERVに特有のLong Terminal Repeat (LTR) という繰り返し配列の存在が発現量の解析をややこしくしたり、染色体へのマッピング技術が不十分だったりと、ERVを網羅的な解析するのは非常にチャレンジングだったようですが、Yale大学のAkiko Iwasakiグループがこれを見事に実現し、3220のERVをデータベース化したERVmapというプラットフォームを完成させました。

 

論文はこちら。

www.pnas.org

 

ちょっとごめんなさい、体調が悪くて本文まで読む気がしないんですが (勉強嫌いですいません) 、細胞株や初代培養細胞でのERVの発現を調べたり、全身性エリテマトーデスという自己免疫疾患でERVの発現が上昇していることを示していたり、乳がんで発現上昇・下降しているERVを網羅的に調べています。

 

ただERVの名前が囚人番号みたいになっているので、図表を見ただけじゃ詳細まではわからないですね。

 

 

この時代にバイオインフォマティクスが全くわかりません。時代から取り残されてる感が半端ないです。Rを用いた簡単な統計解析くらいは独学しましたが、そのくらい。

 

とりあえず予防接種で腕が痛い。今日はこの辺で。

光合成する酵母 (Science. November 16, 2018)

mosaです。

ゆるキャラグランプリ2018では、900を超えるゆるキャラのエントリーの中から埼玉県志木市のカパルが堂々一位を獲得しました。元志木市民として嬉しい限りです。

 

さて、今日は志木市ではなくシキミ酸の話。

シキミ酸というのは、もともとシキミという日本の植物から発見された化合物だそうで、今では中国のトウシキミ由来の香辛料である八角から作ることができるそうです。

 

どうやらエスプレッソマシンで作れるみたいです。笑

www.chem-station.com

 

 

このシキミ酸、植物内ではフェニルアラニンやトリプトファンといったアミノ酸のみならず、色素となるフラボノイド類や香料を作るために大事っぽいし、何よりもインフルエンザ薬のタミフルの原料となっています。

 

一般的に微生物を用いた化合物合成が産業界では大きな柱となっていて、八角からも作れるとはいえ、シキミ酸の合成もビール酵母での代謝反応を利用して得ています。

 

シキミ酸は酵母の糖代謝の中で3-デヒドロシキミ酸 (3-dehydroshikimic acid: DHS) から合成されますが、この反応にはNADPHという還元型補酵素が必要。

 

で、このNADPHを作るのも酵母の糖代謝。

つまり、グルコースの代謝は途中で枝分かれして、シキミ酸合成の方に行くほうもあれば、その反応に必要なNADPHを作るのに大事なペントースリン酸経路 (Pentose phosphate pathway: PPP) に行く方もある。

 

 

 

ここでハーバードのNeel Joshi (男子) らは、このPPPを遺伝的に潰してしまえば、グルコースの代謝を全部シキミ酸合成に持っていけるんじゃないか、と考えるわけです。

 

そうすると、もう一方のNADPHが作れなくなるから結局だめやん、となりそうですが、そこを外から補うシステムを構築したんですね。

 

science.sciencemag.org

リン化インジウム (インジウム燐) という半導体をポリフェノールでできたナノ粒子にいれて酵母の細胞膜にペタペタくっつける。光を当てるとこの半導体から電子が出てきて、くっついている酵母に電子をあげることで、NADP+からNADPHを作っちゃうよと。

 

こういう生物と無機物の合体をバイオハイブリッドとかいうらしく、結構いろんなところへの応用が期待されているみたいですね。

以前にも硫化カドミウムと酵母を組み合わせたバイオハイブリッドはあったらしいですが、リン化インジウムの方が毒性が少ないそうで。

 

 

んで、結果は大成功。PPPに関わる遺伝子ZWF1を欠損させた酵母にこのナノ粒子をくっつけて光を当てると、シキミ酸の合成量は通常の酵母の11倍に膨れ上がったと。

 

 

おめでとう。君の研究結果はScienceに掲載だ。

となるわけです。この研究はWyss Instituteにラボを構えるエンジニアリングプログラムSEASに属する研究者たちの功績で、こういうのをみるとやっぱバイオエンジニアリングの世界は大事だしやりがいありそうだなぁと隣の芝生青い問題。

 

このプログラムにいる同期の友達いたなあと。ウェアラブルロボットの研究してるっていってたな。かっけえな。

誰か脚の細胞に働きかけて背が伸びるようなウェアラブル機器を作ってくれ。

 

ソーラーパネルを身にまとう酵母。

いずれ人間もソーラーパネルのようなものを着て「エネルギー満々だぜ」とかいうようになる日がくるんでしょうかね。

 

 

僕が毎朝4時に起きる理由

早起きは三mosaの徳。

 

何気なくTwitterをみてたら、もう半月くらい前の記事が目にとまりました。

 

www.nytimes.com

 

この可愛らしいイラストが目に入ったのでスクロールの指を止めて記事を読んだといっても過言ではないです。トップ画の重要性を思い知りました。

プロのブロガーやライターの方は、もしかすると記事の画像に凝った方がいいかもしれませんね(余計なお世話)。僕は自己満ブログなので面倒なことはしませんが。

 

 

話は少し逸れましたが、記事を書いたBenjamin Spallという方は同様の本も出版しているようです。

 

www.amazon.com

 

なので詳しい内容は上記New Yorkerコラムよりもこちらの本に記載されていることは自明ですが、記事の内容はざっくりまとめると

 

サクセスフルな人々にインタビューした結果、共通してみられる傾向は、

  • ギリギリまで寝るのではなく、早起きする
  • 朝の空いた時間に、自分 (のやる気や意識) を高めるルーティンを行う
  • でも、しっかりと寝る。毎晩7-9時間は寝ないと痛い目をみる
  • 旅行先など毎朝のルーティンが行えない場合は、似たような事柄に変えるなどして適応させる
  • 数日ルーティンが行えなくても気にしない。

 

とのことです。

ちなみにインタビューしたサクセスフルな300人の平均の起床時刻は午前6:27らしいです。

 

 

まあね、サクセスフルな人ってどういった業績基準で選抜されてるんだろうって思っちゃいますが、まあいいですわ。

 

 

 

 

かくいう僕も、朝は結構早くて午前4:00 - 4:30に起床します。

これだけ聞くと、なんか成功者の仲間入りっていう感じですが。。。

 

早起きしてれば成功者ってことにはなりません。

数学の教科書にあった命題の逆・裏・対偶を思い出しますね

 

 

 

では、なぜそんな早起きしているのかってことになりますね。

mosaくん、一体なんのルーティンで自分を高めているの?運動とか、してるの?と。

 

 

........いや、仕事をしてます。仕事といっても研究ですが。

 

もうね、朝起きてすぐ着替えて学校です。

 

理由は、誰にも邪魔されずに静かに一人で実験したいから。

 

極度に内向的です。こっちの人って空気を読むことが圧倒的にできないので、人がヘッドホンをつけて実験に集中してても平気で話しかけてきます。そのまま劇薬ぶっかけてやろうかって思います。嘘です流石にそこまでは思いません。

 

いや、研究室の人数がそれなりに少なくないのに対し、物的資源が足りてないんですね。細胞実験に不可欠なクリーンベンチも10人越えのラボに対し2台しかないし、色々交渉のために話しかけられて邪魔されるくらいだったら、朝の誰もいない時間帯にそういう類の実験を終わらせたいんですね。

 

だから、ラボに着いた4:30ごろから僕の次に朝早い人が来る8:30までの間、割とハイパー集中タイムで実験をしています。

まあ日によって忙しさは異なるので、当然待ち時間もあったりするんですが。

 

一人の空間は最高です。

 

そして昼前後には実験が終わっていることが多いので、そこからは部屋に戻ってジムに行ったり洗濯物をしたりしています。

洗濯は2日に1回、ベッドシーツも含め洗っています。洗濯乾燥機の使用がタダではないので、お金が結構かかっちゃいますね。

 

 

 

あとはこのブログを書いたりもしています。

そんな感じで色々やって就寝は11-12時くらいです。

 

 

本当はこれで空いた午後にしっかりと勉強でもできていれば理想的なのですが、大抵の場合は気がつくと部屋のベッドで1−2時間寝てしまっています。こうやって昼寝と合わさってトータルの1日の睡眠時間が6時間くらいに保たれています。

 

だから、自分を高めるために早起きしてプラスアルファの活動をしているというよりは、むしろ仕事の時間を早めにスライドしているだけってことですね。

 

 

 

こういうことができるのは、大学院生ならではかなと思います。

会社員など、対外の要素が多い場合には自分のペースで活動できませんからね。

 

 

 

日本だと特に、朝の通勤ラッシュとか最悪じゃないですか。

僕はあれが嫌で、職場から徒歩圏内に家を借りていました。

 

もし電車で通わなければならないとしたら、やはり少し早起きして激混まない時間帯を狙うでしょう。

 

似たような感覚で、可能な部分は「その他大勢」と時間をずらしてみると、おそらく思っているより生活におけるストレスは軽減するので、一度試してみてはいかがでしょうか。

 

 

というわけでもう劇的に眠いなうです。

ボストンでカラオケに行っとく?

mosaです。

僕の学校や研究室があるロングウッドエリアからは少し離れた場所に、日本の居酒屋ちっくなお店があります。

 

Ittoku (行っとく)

https://www.yelp.com/biz/ittoku-boston

 

Commonwealth Avenueにある居酒屋で、僕はまだ3-4回しか行ったことないです。

ちょっと遠いから気軽には行きづらいんですね。

 

もずく酢やたこわさから始まり、種々の揚げ物やオムそばなどもあるし、お寿司も焼き鳥もあります。日本の居酒屋みたいに、まあ色々あるってことです。

 

そして、ボストンの日本食レストランは基本的に割と高めですが、ここは価格もそんなに高くなくていいです。もちろん、チップは払いますが。

 

 

ちなみに、ちょっとテイストは居酒屋からレストラン寄りになって魚メインのお店にはなりますが、もうちょっとアクセスの良い場所にDouzo (どうぞ) という日本食レストランがあり、何度か行ったことがあります。Back Bayのあたりにあり、味も美味しくて好きです。

 

Douzo Sushi, Best Sushi in Boston Back Bay

 

 

 

 

というわけで今日はAllstonエリアのIttokuで夕飯を食べたので、消費のためにも少し歩いてカラオケに行ってきました。

 

 

ボストンでカラオケ?はい、ございます。

本当にちゃんとしたところに行きたければ車でも運転してラウンドワンにでも行けばいいんでしょうけど、そうじゃなくても韓国系のカラオケ店はいくつかあって、日本の曲もまあまあ収録されています。

 

僕が行ったのはJinというHarvard Ave. 沿いにある個人経営っぽいところです。

https://www.yelp.com/biz/jin-karaoke-boston

 

お店の人は優しい感じの韓国のお方で、何回か行ったので日本人だということを覚えられていました。

 

色々細かい機能だったり曲の入力の便利さだったり、もちろんそりゃあ日本のカラオケと比べたら雲泥の差がありますが、結局のところ歌えればなんでもいいわけです。

Flamingoは流石にまだですが、米津玄師のLemonとかDA PUMPのUSAとかは入ってたりするレベルです。(どのくらい日本の曲をキャッチアップしているのかが気になる人への指標にはなるかなと。)

 

 

1時間歌って部屋代が$35かな。カラオケには複数人でいくことが多いと思うので、$35を人数で割るということです。

 

 

他にもチャイナタウンやダウンタウンの方にちらほらカラオケはあり、曲を入れる機械もちょっとハイテクですが、サービスが悪かったり面倒だったりと、あまり良い思い出がないのでカラオケに行くとしたらJinに行っています。

 

 

というわけで、ボストンでちょっと適当に歌いたいなぁという方は行ってみたらいかがでしょうか?

 

オープンが夕方4時ごろで深夜まで開いている夜型のお店なので、そこだけ少しご注意を。

 

 

じゃあね

低脂肪食 vs ケトジェニックダイエット (Science. November 16, 2018)

天気予報の通り、アメリカ東海岸の一部では夜から雪が降り始めました。

 

初雪にざわめく街ですが、見覚えのあるスカイブルーのマフラーを巻いた女性は見つけられませんでした。

 

というか、そもそもスカイブルーのマフラーに見覚えなんてありませんでした。

 

いや、もはや街は初雪にあまりざわめいていなk.....

 

.....もういいです。古いネタでごめんなさい。

カラオケで遊びまくっていた僕の輝かしい学生時代を思い出す曲です。

てか今も学生だった。

 

 

さて、今週のScienceの特集が個人的な興味にクリーンヒットです。メジャーでの新人賞を取得した大谷選手もびっくりです。(おめでとうございます)

 

というのも、今週は「食と健康」特集なんですね。

 

僕は生物学が好きではないってかどっちかっていうともはや嫌いなレベルなんですが(どうしてここにいるんだろう)、食事の栄養とか健康についての科学は結構好きなんです。

 

 

特集といっても全ての記事が関連している研究ではないですが、巻頭に複数の総説記事がまとめて寄稿されている特集があるってことです。

「低脂肪食とケトジェニックダイエット、結局どっちがいいの?」問題とか、カロリー制限や断食の効果、腸内細菌への影響とか、様々な内容です。

 

 

個人的に僕が、そして一般的にも一番興味が持たれやすいんじゃないかなっていうのが、こちらの記事。

 

science.sciencemag.org

 

 

一時期は低脂肪食が健康食として推奨されてきましたが、最近ではすっかりケトジェニックダイエットなどの低炭水化物ダイエットに焦点が当てられています。ある程度、流行りは周期的なものだと思うんですが。

 

ということで、どっちがいいんですか?っていう記事。

 

自分自身のために内容をまとめてみました。

疾患の各論については流石にすっ飛ばしますが、エッセンシャルな部分をほぼ和訳レベルでいかに記載します。

 

それでもある程度長くなる気がするんで、読むのが面倒な方は先に結論だけ。

 

結論:「ぶっちゃけ人によるだろうし、正解はない。ただし加工食品や加糖、お前らはだめだ。」

 

 

ということで。

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「高脂肪食が肥満や糖尿病のみならず心臓病やがんにつながる」という知見に基づき低脂肪食が、「精製された炭水化物が代謝へ悪影響を与える」というデータを盾に低炭水化物食やケトジェニックダイエットが推奨されている。しかし、実際のところ摂取する脂質と炭水化物の相対比率は健康状態とほぼ関連性がなく、脂質や炭水化物の源になる食事そのものに焦点が当てられるべきだ、という声が近年になってあがっている。

 

 

米国政府が脂質を抑え炭水化物を摂取するように 推進した70年代後半から現在にかけて、国民の食事のうち脂質の占める割合は42%から34%へと減少した。しかし周知の通り、米国での肥満率や糖尿病、その他疾患への罹患率はむしろ上昇するばかりである。

 

もちろん米国での食事がその他様々な側面で変化を遂げていることも考慮すれば、「低脂肪・高炭水化物食」が原因とも言い切れないことは一目瞭然だろう。しかし断定的な科学的根拠がないせいで、現在の振り子は「高脂肪・低炭水化物食」の方向に揺れている。

 

 

アマゾンドットコムにおけるダイエット本のベストセラーを見れば、上位10冊のうち4冊が、脂質を主なエネルギー源とするケトジェニックを推奨する内容になっており、高脂肪食の方が低脂肪食よりも 僅かながら有意に体重を落とすという研究結果も発表されている。しかし同時に、乳製品や肉の赤みに含まれる脂質の過剰摂取は心臓病やがんのリスクを高めるとも言われている。

 

 

つまりは「低脂肪・高炭水化物食」か「高脂肪・低炭水化物食」かは、誰を対象にするかによっても異なるし、何を指標に議論するかによっても答えが変わってくるのである。

 

 

ここに、 これらの対立する食事をサポートする双方の目線を共有したい。

 

 

「低脂肪・高炭水化物食のススメ」

平均的な米国での食事では、全体の エネルギー摂取量の32%-36%が脂質でまかなわれている。低脂肪食とは一般的に、この脂質由来のエネルギーが30%未満の食事のことを指す。

 

肥満や慢性疾患の罹患率が比較的少ない発展途上国では、食事における脂質の割合は西洋食と比べると低い。実際にこれらの国から西洋へと移住した人々では数世代にわたって肥満や慢性疾患の率が西洋人レベルまで上がるということも、おそらく高脂肪な西洋食に対しての人体の影響なのではないだろうか。

 

人間はマクロ栄養素 (脂質、炭水化物、タンパク質) およびアルコールを摂取してエネルギー源とするが、脂肪よりも炭水化物を優先的に素早く代謝して血糖値を維持するようにできている。おまけに糖質をあまり体内に貯蔵できないのに対し、 高脂肪食で摂取した脂肪は代謝されにくく脂肪組織に蓄積される一方である。 美味しいくせに満腹になりにくい脂肪分の特徴は、高脂肪食をついつい食べ過ぎて しまう原因となっている。さらに、炭水化物やタンパク質の持つエネルギーが4 kcal/gであるのに対し、脂質の持つエネルギーは9 kcal/gと二倍以上であることと合わせれば、高脂肪食が体重増加 になるのは一目瞭然だろう。実際に様々な組成のエサを与えたマウスの実験では、 高脂肪食だけが食べ過ぎと体重増加を誘発した。高脂肪食が海馬の報酬系を構成するセロトニン受容体の発現上昇やドーパミン、オピオイドシグナル伝達の活性化を促すという 研究結果も、興味深い。

 

脂質や特定の脂肪酸が代謝に悪影響を与えることも知られている。ヒトとマウスの両方において高脂肪食が炎症性サイトカインや補体、Toll様受容体の発現を上昇させるのに対し、低脂肪食はこれらを減少させる。また、例えば動物性脂肪に多く含まれるパルミチン酸やステアリン酸はミトコンドリア膜の構造を変化させ、その機能を弱める。また過剰な飽和脂肪酸は脂肪組織や骨格筋において DNAのメチル化やヒストンのアセチル化といったエピジェネティックな遺伝子発現調節を促すことがわかっているし、低炭水化物食でもアセチルCoAの濃度上昇が同様にヒストンのアセチル化を促進する。

 

 

さらに、高脂肪食によって盛んとなる肝臓での胆汁酸合成は、大腸での代謝をへて腫瘍形成を促進する可能性が示唆されている。事実、遺伝的に類似しているアフリカ人とアフリカ系アメリカ人を比較すると、高脂肪食を摂取している後者では酪酸を産生する健康的な腸内細菌の割合の減少と胆汁酸合成の増加がみられる。また、実際の効果のほどは定かではないが、低脂肪食は乳がんのリスク要素を低下させることが言われている。

 

以上を踏まえると、高脂肪食は健康に悪影響を与えると言えるだろう。ただし注意しなければならないのは、低脂肪食における炭水化物の質である。グリセミックロード (GL) の高い精製炭水化物は急激な血糖値とインスリン濃度の増加を引き起こし、食欲増進のみならず炎症やインスリン抵抗性、脂質異常症につながってしまう。低GLで食物繊維の豊富な全粒粉の穀物や果物、野菜を主な炭水化物源とした低脂肪食では、これらの悪影響はみられないほか、植物由来の食事にはミクロ栄養素や抗酸化物質などの健康にいいものも豊富に含まれている。

 

 

 

「高脂肪・低炭水化物食のススメ」

低炭水化物食と一口に言ってもマクロ栄養素の構成は大きく異なるが、一般的な食事よりも炭水化物由来のエネルギー摂取の割合を減らし、逆に全体の40%以上を脂質由来にした食事を高脂肪・低炭水化物食と呼ぶ。脂質由来のエネルギーが70%を超えるケトジェニックダイエットでは、様々な病気の治療効果がみられている。

 

40年にもわたり低脂肪食が推奨されてきたにも拘らず、米国における成人の4分の3以上が高体重または肥満であり、その半分が糖尿病あるいはその前段階にかかっている。低脂肪食への切り替えで精製炭水化物や加糖の摂取量が著しく増加したことを考えると、これらが健康に悪であることは容易に想像可能であろう。

 

食事における炭水化物を脂質に置き換えれば、血糖値や血中インスリン濃度の急激な増加は抑えられグルカゴンの分泌が上昇するし、体での主な代謝はグルコース代謝から脂質代謝へと変わる。これらの変化は酸化ストレスの軽減や食事による炎症反応の抑制ばかりか、インスリンなどのホルモンへの抵抗性の減少など、様々な生活習慣病の改善へとつながる。また、低炭水化物によりケトーシスというケトン体の蓄積が軽めに誘発され、抗炎症性のケトン体の一種である b-ヒドロキシ酪酸 (bOHB) の血清中濃度が<0.1 - 0.5 mMから 5 mMへと上昇する。ケトン体は脳や心臓での栄養源として利用可能で、遺伝子発現調節、抗炎症、抗酸化ストレスや長寿など、様々な健康への好影響が示唆されている。

 

病態生理学的に見ても、高脂肪・低炭水化物食はインスリン抵抗性と二型糖尿病における代謝異常を改善する。インスリン抵抗性の状態では、食事由来の炭水化物は肝臓での脂質合成を促すことで肝臓中のトリグリセリドの合成や血中脂質の量を異常に増加させる。歴史的な観点から見ても、例えばアボリジニの狩猟・魚釣民族では低炭水化物の状態で数千年の時を生き延びてきたわけだし、そもそも農業が発展する以前は軽度のケトーシスが「通常の」代謝状態であったのだ。時代の変化とともにこれらの民族集団の食事が高脂肪・低炭水化物食から高脂肪食へと転換したことは、肥満や二型糖尿病の率が急上昇したことの大きな要因の一つであろう。

 

 

 

 

「脂質の質的な観点が大事」

トリグリセリドを主とする食事における脂質は単なるエネルギー源としてひとまとめに語られてきたが、トリグリセリドを構成する脂肪酸はその長さ、二重結合の数や位置やシス−トランス異性体など様々に異なっている。これらの異なる脂肪酸が生物学的に異なる機能を有するために、脂肪分の健康への影響は複雑で十分に理解できないものとなっているのだろう。

中でも、脂肪酸における二重結合の位置は特に重要である。多価不飽和脂肪酸 (PUFA) であるN-3およびN-6脂肪酸はヒトが合成できない必須脂肪酸である。これらは共に我々の細胞の膜を構成する大事な成分であると同時に、炎症や血栓症、免疫やインスリン抵抗性を誘発するエイコサノイドと呼ばれるホルモンの前駆体としての顔も持っている。N-3脂肪酸が増加すると、細胞において6000以上もの遺伝子の発現が変化するので、この脂肪酸の役割がとても複雑であることがわかる。

 

数々のヒトにおける試験が、 食事における総脂質量を問わず、特定の脂質の摂取が健康に影響を与えることを示している。N-3およびN-6脂肪酸は生体で枯渇しないレベルの摂取でも健康に好影響をもたらすし、非必須脂肪酸も細胞における代謝に重要な影響をもたらす。

 

 

 

 

「結論」

肥満や慢性疾患の予防における最適な 炭水化物と脂質の摂取比は数十年に渡って議論の的となっているが、結局のところコンセンサスは得られていない。今後は当然、マクロ栄養素だけにとどまらず、その他の様々な質的側面で食べ物、あるいは食べ物の組み合わせを生物学的に評価する必要があるだろう。また、 グルコース代謝などの生物学的要素が人により微妙に異なるために、 特定の食事が人により異なる効果をもたらすことも念頭に入れておく必要がある。

残念ながら米国では、食に関連した慢性疾患の治療研究に対して栄養学的側面での研究に十分な投資がなされていないため、こういった栄養素に関する試験結果ははっきりとしないものが多い。またデータの質だけでなく、糖尿病への効果が期待されているケトジェニックダイエットについては、そもそもまずほとんど試験がなされていない。さらに現実問題として、特定の食事スタイルに人間が個人的にも環境的にも固執できるかという点についても研究が必要である。

とはいえ、複数の試験結果から共通認識が得られているのも事実である。すなわち、万人に最適な炭水化物 - 脂質の比率は存在しないのである。むしろ加工食品や砂糖、精製穀物を減らすなど、質的な側面で食事を改善することが、多くの人の健康に良い影響をもたらすのである。

 

 

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低脂肪・高炭水化物食と高脂肪・低炭水化物食が各疾患に対してどのような効果を持つのかの代表的な試験結果については、それぞれ小節にて解説されています。それ以外にも、これらの食事について議論の争点になっている点およびコンセンサスが得られている点についてボックスで列挙してあったりします。

 

無料で読める記事なので、あまり僕の日本語を信用しすぎず、興味のある方がぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

 

 

【初心者向け】アメリカのスターバックスで太らず美味しく飲む方法

mosaです。11月14日は世界糖尿病デーだそうです。

(例によって、時差により日本国内ではこの記事は15日更新となりますが。)

 

糖尿病は血糖値を抑えるインスリンの働きに異常がみられる病気で、大きく一型と二型に分類されます。特に二型糖尿病は、患者の多くにインスリン抵抗性がみられますが、これは食事や運動などの生活習慣が原因となっているケースがほとんどなので、生活習慣病と位置付けられています。

 

 

 

さて、僕が今この記事を書いているアメリカは、肥満および糖尿病患者が多い事で知られている国です。

 

理由はみなさんご察しの通りです、街のいたるところが糖分であふれています。

 

中でも個人的にこの生活習慣病に大きく貢献していると感じるのが、スターバックスです。

 

ブラックコーヒーなら問題ないですが、インスタ映えのフラペチーノなどにはとんでもない量の砂糖が入っています。

例えばホリデーシーズン限定のキャラメルブリュレラテ、炭水化物が70g、うち砂糖が47gです。

 

47gの砂糖、重りで計ったことありますか?目にするとその量に驚愕すると思います。

 

 

 

 

さて、僕が住むボストンでは、いたる所にスターバックスがあります。

日本でいうファミリーマート並みの数です。

 

最近はブルーボトルコーヒーなど新興勢力の影響もあって、少し経営が難しいようですね。本社で5%を占める350の職を解雇するというニュースが今朝出ました。

 

www.wsj.com

 

 

 

日本の天使のようなお姉さんたちとは異なり、こちらのスタバの店員は店のBGMの音量をガンガンにあげて、更にそれに乗せて大声で歌い出すという悪魔のような人たちの集まりです。ヘッドホンをしていてもうるさいので、もはや異常だと思います。

 

当然、歌っているので飲み物はすぐに出てこないし、注文を間違えていることも少なくないです。

 

 

 

......では、なぜそれでもスターバックスに行ってしまうのか。むしろ日本ではほとんどスターバックスなんて行ったことなかったのに。

 

一つには、他にカフェの選択肢がないから。もちろんスタバ以外にもカフェはありますが、圧倒的な店舗数、そして営業時間が夜遅くまでであることも、特定の場所・時間ではスタバ以外の選択肢がなくなってしまう要因です。

 

そしてもう一つが、モバイルアプリの存在。

一度乗りかかったスターダッシュチャレンジ、ポイント欲しさにそれをクリアしたい欲が購買意欲へと変わります。

 

スターダッシュチャレンジの詳細は、以前に更新したエントリをどうぞ。

mosalogy.hatenadiary.com

 

 

 

さて、そんなわけでアメリカ国民を糖尿病へとダッシュで向かわせる事で悪名高いスターバックス。僕はだいたいブラックコーヒーやアメリカーノなど、無糖無脂肪のものを頼みますが、たまには季節限定のメニューを楽しみたい気持ちもあるんです。

 

 

さて、ようやくたどり着きました本日の内容。

いかに太り過ぎを防ぎつつスターバックスの美味しいメニューを楽しむか。

 

 

ずばり、アプリで注文してください。

はい、それだけです。

 

アプリで注文すると何ができるのか、それはカスタマイズです。

 

 

ーーはぁ?そんなの店頭で頼んでもできるでしょ?

 

 

確かにできます。

 

...でも、本当にできますか?

 

英語が完璧でペラペラな方はまだしも、留学し始めでそこまで英語力に自信がない人は、混んでる店内で自分の後ろにたくさんの人が待ってる状態で、

 

「キャラメルブリュレラテのシロップ減らして牛乳ではなく豆乳で。ホイップクリームとトッピングはライトでよろしくね」

 

なんてまどろっこしい事、言えますか?

 

 

うん、言えるよ?というあなた。仮に問題なく言えたとして...

そのオーダー、本当に店員に通ってると思いますか?

 

 

あまりアメリカのスタバ店員をなめないほうがいいですよ。

 

まだ僕の後ろで歌ってますよ。

 

 

 

はい、少しアプリでのカスタマイズが知りたくなりましたか?

それでは早速、例としてサンクスギビング期間限定のキャラメルブリュレラテを少しだけ健康的にしてみましょう。

 

 

アプリのダウンロードとかは普通にやってください。

 

 

まずは飲みたい物をタップして商品詳細画面を開きます。

キャラメルブリュレラテはこのようになっています。

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さて、注文カートに入れる前に、そのまま下にスクロールしてみましょう。

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フレイバーやトッピング、ミルクなどが出てきましたね。

 

これらをアレンジすることが、少しでも健康的にドリンクを楽しむための鍵です。

 

では、試しにフレイバーをみてみましょう。これはドリンクを作る時に使用するキャラメルブリュレソースについてです。

 

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今回いじるのは、一番上に表示されているポンプ数です。

シャンプーのように、何回プッシュするか、ということですね。

 

※間違っても下のソース欄を変更しないでください。追加で色々なソースを足して、逆に太ります。

 

 

このポンプ数の右隣に表示されている「ー」をタップ。

 

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これで、ポンプ数を4回から2回に減らすことができました。

ソースにたっぷり含まれている糖分を半分にカットした、ということです。

 

※次のメニューに行く時、必ず下の'Save'をタップしてください。

間違って左上の'Cancel'で戻ってしまうと、変更は保存されません。

 

続いて同様に、ホイップクリームとトッピングを'Regular'から'Light'へ。

そしてミルクも'2% Milk'から'Soy'へ。

(牛乳と豆乳の太る太らないの差は科学的に微妙ですが、個人的に豆乳の方が好きなので。他にもアーモンドミルクやココナッツミルクもあります)

 

 

カスタマイズし終わったら、カートに入れてみましょう。

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こんな感じで、ドリンクの下になんか色々と口うるさい姑みたいに項目が書いてありますね。これで購入すればオッケーです。もちろんカスタムした事による料金の追加はありません。

 

 

出来上がった品物がこちら。

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ホイップクリームとトッピングをライトに設定してこの量です。

 

逆にアレンジしていなかったら、どんだけデブになっていたことでしょう!

 

実際に飲んでみると、甘くて美味しいです。

そう、「甘くて」美味しいんです。

 

 

ポンプ数を半分にして普通に甘いんです。アメリカのドリンクのデフォルトは糖分過多で、日本人からしたら甘すぎて味覚の閾値を超えているレベルです。

 

 

アメリカへ留学・旅行中のみなさま。珍しいドリンクを頼んでみる際にはアプリでカスタマイズ注文してはいかがでしょうか?

 

帰国して「太ったね」と言われないために。

 

....うん、出来るだけブラックコーヒーを飲みましょう。